家庭教師の時給交渉を、いつ・どう切り出せばいいのかを実例つきで解説します。角を立てずに時給を上げる言い回しや、交渉に成功しやすいタイミングを、個人契約の現場経験からまとめました。
個人契約で家庭教師をしていると、時給の話は必ず出てきます。派遣会社と違って単価を決めてくれる人がいないので、自分で提示し、ときには交渉することになります。
ここでうまく答えられないと、相場より低い金額のまま何か月も指導することになります。最初の一言が、その後の何か月分もの手取りを決めてしまうのが個人契約です。
この記事では、時給の話が出る3つのタイミングごとに、実際に使っている切り出し方を具体的なフレーズつきで解説します。
時給の話が出るタイミングは3つある
交渉が難しく感じるのは、どのタイミングで何を言うべきかが整理できていないからです。実際には次の3つしかありません。
- 最初の問い合わせで「時給はいくらですか」と聞かれる
- 体験指導のあと、契約を決める段階で条件をすり合わせる
- すでに教えている生徒の時給を上げたい(一番難しい)
順番に、実際の言い方を見ていきます。
① 最初の問い合わせで聞かれたとき
ここで絶対にやってはいけないのが、金額を濁すことです。
- ✕ 悪い例:「いくらでも大丈夫です」「ご予算に合わせます」
- ✕ 悪い例:「相場くらいでお願いできれば…」
謙虚なつもりでも、ご家庭からは「自分の価値を説明できない人」に見えます。しかも一度低い金額で始まると、そこが基準になって上げられなくなります。
正解は、金額をはっきり言い、その根拠をセットにすることです。
- ◯ 良い例:「時給3,000円でお願いしています。中学数学のつまずき直しを専門にしていて、まずは2か月で計算分野を仕上げるところから始めます。」
金額だけを伝えると、ご家庭には「高いか安いか」しか判断材料がありません。値段の交渉ではなく、価値の説明をする。これだけで印象が変わります。学年別の相場は家庭教師の個人契約の相場にまとめてあるので、自分の位置を確認してから提示してください。
② 体験指導のあと、条件を決めるとき
体験指導が終わった直後は、こちらの価値が一番伝わっている瞬間です。交渉する上でもっとも有利なタイミングなので、ここで条件をきちんと固めます。
伝えるべきなのは、金額に加えて「この先どうするか」の見通しです。
- ◯ 良い例:「今日見せてもらった感じだと、つまずきの原因は前学年の内容だと思います。まずは3か月で、そこを埋めながら定期テストの点数を上げていきます。時給は3,000円、週1回2時間でいかがでしょうか。」
あわせて、曜日・時間・支払い方法・キャンセル時の扱いもこの場で決めてしまいます。ここを曖昧にすると後でトラブルになります(詳しくは個人契約の注意点)。
③ すでに教えている生徒の時給を上げたいとき
これが一番難しく、そして多くの人が言い出せないまま安い時給で続けてしまうところです。
私がやってきたのは、お願いではなく提案の形にするという方法です。値上げを「お願い」すると相手にメリットがないので断られますが、先に成果を約束して、その達成と引き換えにすると、ご家庭は判断しやすくなります。
- ◯ 良い例:「次の定期テストで数学◯点を目標にします。それが達成できたら、来月から時給を◯◯円に見直させていただけないでしょうか。」
この形なら、ご家庭は成果が出たあとに払うことになるので、リスクを負いません。断る理由がなくなります。
ただし条件があります。言った以上は必ずコミットすること。目標を口先だけにすると信頼を失い、次の交渉ができなくなります。逆に一度この形を成立させると、その後の関係はとても楽になります。
「ちょっと高い」と言われたときの対応
すぐに値下げするのは避けてください。一度下げると、その金額が基準になります。
金額を動かさずに調整する方法があります。
- 回数や時間で調整する:「週2回が難しければ、まず週1回から始めましょうか」
- 期間を区切る:「まずは3か月、テストまでの期間限定でやってみませんか」
- オンラインに切り替える:移動がなくなる分、こちらの負担も減ります
単価を守ったまま、ご家庭の予算に合わせる。これが現実的な着地点です。
交渉の前に、自分の単価の根拠を用意しておく
結局のところ、交渉がうまくいくかは事前準備で決まります。聞かれてから考えるのでは遅いので、次の3つは答えを用意しておいてください。
- 自分の時給はいくらか(即答できる数字)
- その金額で、何を、どのくらいの期間で提供できるか
- 過去にどんな成果を出したか(数字があるとなお良い)
この3つが言えれば、交渉は「駆け引き」ではなく「説明」になります。そして説明できる人は、値切られません。
よくある質問
Q. 未経験の場合、時給はいくらから提示すべきですか?
A. 相場の下限から始めて構いませんが、極端に安くする必要はありません。学年別の目安(小学生1,500〜2,500円、中学生2,000〜3,000円、高校生2,500〜3,500円)の範囲内で、対応できる科目と学年を絞って提示するのが現実的です。安さで選ばれると、その後も安いままになります。
Q. 値上げを切り出すのはどのタイミングが良いですか?
A. 定期テストや模試など、成果が数字で見える節目が最適です。「結果が出たので」という文脈があると、ご家庭も納得しやすくなります。指導開始から日が浅いうちや、成績が下がった直後は避けてください。
Q. 交通費は時給に含めるべきですか?
A. 別途で相談するのが一般的です。最初の条件確認のときに「交通費は実費でお願いできますか」と伝えておけば揉めません。遠方の場合は、時給とは別に必ず明示しておくべき項目です。
Q. 値上げを断られたらどうすればいいですか?
A. その場は引いて構いません。今の条件を続けながら、他の生徒を新しい単価で獲得していくのが現実的です。個人契約は複数の生徒を持てるので、全体の平均単価を上げていく発想の方がうまくいきます。
まとめ
時給交渉で大事なのは、①金額を濁さない、②金額と一緒に「出せる結果」を説明する、③値上げは成果とセットで提案する、④高いと言われても単価ではなく回数や期間で調整する、の4点です。
そもそも交渉できる相手がいない、という段階の方は個人契約で生徒が集まらない時に見直す5つのことを先に読んでください。
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なお、実際に時給交渉をした場面の生々しい話は、noteの記事にも書いています。