こんにちは。ブログ「家族を想うお葬式ガイド」を運営しているKeisukeです。
以前、葬儀社でプランナーをしていた際、たくさんのご遺族とお話する中で、故人様への想いや、葬儀という特別な時間への向き合い方について、深く考えさせられることが何度もありました。
特に印象に残っているのが、あるご高齢の女性のご相談です。ご主人の葬儀を終えられた後、私にこうおっしゃいました。「主人が好きだった結婚指輪、どうしたらいいか分からなくて。そのままにしておくのは忍びないし、でも、つけていると何か言われるんじゃないかと思って…」
その女性の寂しげな表情は、今でも忘れられません。
結婚指輪をはじめ、故人様との思い出が詰まった大切な指輪。
「葬式で指輪をつけてもいいのだろうか?」
「故人の指輪はどうしたらいいのだろうか?」
こうした疑問は、多くの方が抱えていることでしょう。
この記事では、元葬儀社プランナーとしての経験を活かし、葬式における指輪のマナーについて、後悔しないためのポイントを詳しくお伝えします。
一口に「指輪」といっても、ご自身が身につけるものと、故人様の指にあるものとでは、考えるべきことが異なります。
この記事を読んでいただくことで、大切な方とのお別れの時間を、より穏やかな気持ちで過ごすためのヒントを見つけていただければ幸いです。
葬式に参列する際の「指輪」マナー
まず、ご自身がご葬儀に参列する際の指輪のマナーについて解説します。
結論からお伝えすると、結婚指輪は基本的に着用しても問題ありません。
しかし、華美なデザインや大きな宝石がついたもの、ファッション性の高い指輪は避けるのが一般的です。
なぜ「結婚指輪」だけはOKなの?
ご葬儀は、故人様を悼み、悲しみを分かち合う場です。そのため、派手な装飾品は「お祝い事」を連想させ、この場にふさわしくないとされています。
しかし、結婚指輪は「故人様との永遠の愛」や「家族の絆」を象徴する特別なものです。悲しみの場にふさわしい、控えめで落ち着いたデザインであれば、着用が許容されることがほとんどです。
特に、ご高齢の方やご年配の方の中には、常に結婚指輪を身につけていらっしゃることが多いでしょう。無理に外す必要はありませんし、むしろ故人様を想う気持ちの表れとして、大切にされるべきものだと私は考えます。
避けたい指輪とは
では、どのような指輪は避けるべきでしょうか。
- 宝石付きの指輪:ダイヤモンドやルビーなど、きらびやかな宝石がついた指輪は、華やかすぎる印象を与えます。特に大きな宝石がついたものは、弔事には不適切とされています。
- デザイン性の高い指輪:奇抜なデザインや、複数の指輪を重ねてつけるようなファッションリングは、弔事の厳粛な雰囲気を損なう可能性があります。
- イミテーションジュエリー:弔事の場では、本物であっても華美なものは避けるべきとされています。安価なアクセサリーであっても、きらきらと光るものは避けた方が無難です。
ご葬儀の際は、基本的に結婚指輪以外の指輪は外していくのが無難でしょう。もし結婚指輪以外でどうしても身につけたい指輪がある場合は、シンプルで、控えめなデザインのものを選ぶようにしてください。
指輪の他にも気をつけたいアクセサリー
指輪以外にも、アクセサリーにはマナーがあります。
- ネックレス:一連の真珠のネックレスは、不幸が重ならないという意味合いから、着用が許されています。二連や三連のものは避けましょう。また、真珠の色は白色が一般的ですが、黒真珠も格式高いものとして着用が可能です。
- イヤリング・ピアス:真珠の一粒タイプや、控えめなデザインのものを選びましょう。揺れるタイプや大ぶりのものは避けてください。
- 腕時計:金属製のバンドのものは避け、革製のシンプルなものが好ましいです。文字盤が派手なものや、デジタルのものは避けましょう。
ご葬儀に参列する際の服装やアクセサリーについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
参考記事:
故人様の指輪はどうする?指から外せない時の対処法
ここからは、大切な故人様の指輪についてお話しします。
ご生前、常に身につけていらした結婚指輪や形見の指輪。
「この指輪をどうしたらいいのだろうか…」
ご遺族にとって、これは非常に悩ましい問題です。
故人様のお身体から指輪を外すかどうか、外した指輪をどうするか、具体的な対処法を解説します。
故人様の指から指輪を外すべき?
故人様の指輪は、必ずしも外さなければならないという決まりはありません。
故人様が生前大切にされていたものですから、ご遺族のお気持ちを優先して決めるのが一番です。
もし、故人様と一緒に荼毘に付したい(火葬したい)とお考えであれば、そのままにしておくという選択肢もあります。ただし、この場合にはいくつか注意点があります。
- 指輪の素材:プラチナや金などの貴金属は、火葬の熱で溶けたり、変形したりします。そのため、お骨に付着してしまったり、原形をとどめなくなったりする可能性があります。
- 宝石:ダイヤモンドは高温に耐えられますが、その他の宝石(ルビー、サファイア、エメラルドなど)は、火葬の熱で割れたり、変色したりすることがほとんどです。
故人様の指輪をそのまま火葬したいというご希望がある場合は、事前に葬儀社の担当者にご相談ください。指輪の素材や宝石の種類によっては、火葬炉に悪影響を及ぼす可能性も考慮する必要があるためです。
指から外せない時の対処法
ご遺族が指輪を形見として手元に残したいと思っても、故人様の指がむくんでいて、指輪が外せないという状況は少なくありません。
無理に力を加えてしまうと、故人様のお身体を傷つけてしまう恐れがあるため、絶対にやめてください。
このような場合、いくつかの方法で指輪を外すことができます。
- 石鹸やクリームを使う:故人様の指に石鹸水やハンドクリームをつけ、滑りやすくしてゆっくりと外します。
- 糸を使う:糸を指輪の下に通し、指に巻き付けてから少しずつ指輪をずらしていく方法もあります。
- 専門の業者に依頼する:葬儀社によっては、指輪を外すための専門の道具を持っている場合があります。また、宝石店や貴金属の買取業者でも、指輪を外すサービスを提供しているところもあります。
万が一、どうしても外せない場合は、そのまま火葬することも可能ですし、最終手段として、葬儀社が専門の業者に依頼して指輪を切断することも可能です。ただし、指輪を切断すると、指輪自体が元の形に戻せない可能性が高いため、この方法は慎重に検討してください。
故人様の思い出の品をどうするかは、ご遺族にとって大切な決断です。焦らず、ご家族でよく話し合って決めることをお勧めします。
指輪の「形見分け」と「供養」
故人様の指輪を無事外すことができた後、どうするかという問題も出てきます。
選択肢としては、「形見分け」「供養」「リフォーム」「売却」などが考えられます。
形見分けとして大切にする
故人様の指輪を、ご家族や親しいご友人で形見として分け合うのは、故人様を身近に感じられる良い方法です。
「いつも母がつけていた指輪だから、私が引き継ぎたい」
「祖父が使っていた指輪を、孫である私が形見として大切にしたい」
形見分けは、故人様との思い出を未来につなぐ、温かい風習です。
形見分けをする際は、ご家族でよく話し合い、誰が何を引き継ぐか決めておきましょう。後々のトラブルを避けるためにも、話し合いは大切です。
故人様を想い供養する
故人様の指輪を、ご遺族の手元に残すのではなく、故人様の供養としてお墓に納めるという選択肢もあります。
ご遺骨と一緒に納骨する場合や、墓石に埋め込む形で供養する方法もあります。
この場合も、事前に石材店や霊園の管理者に相談し、どのような方法が可能か確認してください。
また、形見分けや供養をせず、そのまま手元に置いておくことも、もちろん可能です。
ご自身の気持ちが一番大切です。後悔のない選択をしてください。
リフォームして新たな命を吹き込む
「故人様の指輪を身につけたいけれど、サイズが合わない…」
「デザインが少し古くて、普段使いしにくい…」
そんな場合は、指輪をリフォームして、新しい形に変えるのも素敵な方法です。
指輪の石をペンダントトップにしたり、デザインを現代風に変えたりすることで、故人様を身近に感じながら、長く愛用することができます。
大切な指輪をリフォームしてくれるジュエリーショップは数多くあります。故人様との思い出を大切にしながら、ご自身だけの特別なジュエリーとして生まれ変わらせてみてはいかがでしょうか。
売却して故人様の意思を尊重する
中には、「故人の遺品を整理したい」「故人の指輪を現金化して、遺された家族のために使ってほしいという故人の意思を尊重したい」といった方もいらっしゃるでしょう。
この場合、指輪を買い取ってもらうという選択肢もあります。
貴金属や宝石は価値がありますので、専門の業者に査定を依頼し、適切な価格で買い取ってもらうことができます。
遺品整理の専門業者の中には、故人様の持ち物の整理だけでなく、価値のあるものの査定や買取まで一括して行ってくれるところもあります。
遺品整理専門【ライフリセット】のようなサービスは、遺品整理でお悩みのご家族にとって、心強い味方になってくれるでしょう。故人様が遺された大切な品々を、ご遺族の負担なく整理するお手伝いをしてくれます。遺品整理は、体力だけでなく精神的な負担も大きいため、こうしたプロの力を借りることも視野に入れてみてください。
「葬式 指輪」に関するよくある質問
これまでの内容を踏まえ、「葬式 指輪」に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめました。
Q1. 葬式にパールの指輪はつけてもいいですか?
A. パール(真珠)は、「月の涙」や「人魚の涙」と言われ、故人様を悼む気持ちを表す宝石とされています。そのため、真珠のネックレスやイヤリングは、弔事の場で着用が許されています。
ただし、指輪に関しては、派手なデザインでなければ着用しても問題ありませんが、真珠一粒のシンプルなデザインを選ぶようにしてください。複数の真珠が連なったものや、大ぶりのものは避けるのが無難です。
Q2. 故人の指輪をそのままつけていてもいいですか?
A. はい、故人様の指輪を形見として身につけるのは、故人様を偲ぶ気持ちの表れであり、大変素敵なことです。
ただし、ご葬儀の場では、参列者の視線が気になることもあるかもしれません。もし気になるようでしたら、通夜や告別式の間は外しておき、ご自宅などで身につけるようにするなど、ご自身の気持ちに寄り添って決めてください。
Q3. 葬儀の後、故人の指輪はどうするのが一般的ですか?
A. 特に決まった「一般的」な方法はありません。
- 形見としてご家族が引き継ぐ
- 供養としてお墓に納める
- リフォームして身につける
- 売却する
など、様々な選択肢があります。ご家族で話し合い、故人様への想いを一番大切にできる方法を選んでください。
Q4. 故人の指輪を切断する際の注意点は?
A. どうしても指から外せない場合、指輪を切断することになりますが、切断後は修理が難しくなる場合がほとんどです。
切断を依頼する際は、必ず事前に修理が可能かどうかを確認してください。
また、葬儀社が切断を行う場合は、専門の道具を使いますが、ご自身で無理に行おうとすると、指を傷つけてしまう可能性があります。必ずプロに任せるようにしてください。
後悔しないお別れのために、今できること
ご葬儀は、突然の出来事であることが少なくありません。
大切な方を亡くされた悲しみの中で、様々なことを決めなければならないのは、大きな精神的負担となります。
冒頭でお話ししたご高齢の女性のように、「指輪をどうしたらいいか分からなかった」というような、小さな疑問や不安が、心に重くのしかかることもあります。
後悔しないお別れのためには、事前の準備と、いざという時に頼れる情報源を持つことが大切です。
信頼できる葬儀社選びの重要性
ご葬儀の準備は、故人様が亡くなられてから数時間以内に行うことが多いです。
時間がない中で、費用や内容、担当者の対応など、様々な要素を比較検討するのは非常に困難です。
そこで、信頼できる葬儀社を事前に探しておくことが、後悔しないお別れにつながります。
- 相見積もりを取る:複数の葬儀社から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討しましょう。
- 料金体系の明確さ:何にいくらかかるのか、明確に提示してくれる葬儀社を選びましょう。
- 担当者の対応:親身になって相談に乗ってくれるか、信頼できる担当者かどうかを見極めましょう。
しかし、突然の訃報で、こうした時間的な余裕がない場合がほとんどです。
株式会社エス・エム・エスが運営する【安心葬儀】は、全国7,000以上の葬儀社から、ご希望の条件に合わせて最適な優良葬儀社を紹介してくれるサービスです。
東証プライム上場企業が運営しており、相見積もりサービスを利用することで、時間がない中でも、良い葬儀社を見つけることができます。
ご葬儀にまつわる「お金」と「お返し」
ご葬儀には、多くの費用がかかります。
指輪の売却や、遺品整理で出てきた品物を現金化して、葬儀費用に充てるという考え方もあります。
ご葬儀に関する費用は、葬儀社に支払う費用だけでなく、読経料や戒名料などのお布施、香典返しなど、様々な項目があります。
意外と知らない香典返しのマナー
ご葬儀後、ご香典をいただいた方へのお返し、香典返し。
これもまた、多くのマナーが存在し、どうしたらいいか悩む方が多いでしょう。
- 贈る時期:忌明け後(一般的には四十九日法要後)に贈るのが一般的です。
- 相場:いただいたご香典の半額から3分の1程度の金額の品物を贈ります。
- 品物:消え物(食品、洗剤など)が一般的です。タオルや石鹸など、日常的に使うものも良いでしょう。
香典返しは、故人様を偲んでいただいたことへの感謝の気持ちを伝えるものです。
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1万点以上の商品が揃っており、包装やのし紙、メッセージカードも無料で対応してくれるので、マナーに沿ったお返しをスムーズに手配することができます。
「指輪」にまつわる様々な選択肢を考える
葬式で指輪をどうするかという問題は、ご遺族それぞれの故人様への想いが凝縮されたテーマです。
指輪一つとっても、そこには故人様とのたくさんの思い出が詰まっています。
- 「この指輪をつけたまま、お父さんと一緒に旅立ってほしい」
- 「お母さんが大切にしていた指輪、私が引き継いで大切にしたい」
- 「遺された子どもたちのためにも、指輪を現金化して残してあげたい」
どの選択も、故人様を想う気持ちに優劣はありません。
大切なのは、ご家族で十分に話し合い、後悔のない選択をすることです。
終活の一環として、ご自身の身の回りのことや、もしもの時のことについて、ご家族と話す機会を設けるのも良いでしょう。
エンディングノートに、ご自身の思いを書き残しておくことも、ご家族の負担を減らすことにつながります。
終活は、決して暗いことではありません。
ご自身の人生の終焉をどう迎えるか、ご家族にどのような形で想いを伝えたいか、前向きに考える時間です。
- 遺言書の作成:財産や遺品について、ご自身の意思を明確にしておくことで、相続トラブルを避けることができます。
- エンディングノートの作成:葬儀の形式や、お墓のこと、遺影に使う写真、財産のことなど、ご自身の希望を書き留めておくことができます。
- 遺品整理:ご自身で身の回りのものを整理しておく「生前整理」も、遺されたご家族の負担を大きく減らします。
遺品整理専門【ライフリセット】のような専門業者に相談することで、生前整理もスムーズに進めることができます。
喪服・礼服も、マナーを意識して準備を
ご葬儀に参列する際の服装は、マナーが非常に重要です。
特に女性の場合、喪服・礼服の準備は、突然の訃報で慌ててしまうことが多いでしょう。
「昔の喪服がサイズアウトしてしまった…」
「若い頃に買った喪服だから、デザインが古くて…」
「急なことで、喪服を買いに行く時間がない…」
喪服は頻繁に着るものではないため、いざという時に困るケースが少なくありません。
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葬式に関する知識を深め、後悔のない選択を
ご葬儀は、誰もが一度は経験することです。
しかし、その経験は、人それぞれ異なります。
- 「もっと良い葬儀にしてあげたかった…」
- 「費用が高すぎて、納得がいかない…」
- 「故人の希望を叶えてあげられなかった…」
といった後悔の声も、葬儀社のプランナーとして、たくさん聞いてきました。
葬式に関する知識は、いざという時に、ご遺族を守るための大切な武器になります。
当ブログでは、こうした記事を通じて、皆さまが後悔のないお別れができるよう、様々な情報を提供しています。
最後に、あなたに寄り添うメッセージ
ご葬儀は、故人様との最後の時間です。
- 「こうしなければならない」
- 「こうすべきだ」
といったマナーや形式も大切ですが、何よりも大切なのは、故人様を想う気持ちです。
指輪一つとっても、そこに込められたたくさんの想いがあります。
今回お話した内容が、少しでも皆さまの心に寄り添い、後悔のないお別れを迎えるためのヒントになれば、私にとってこれ以上の喜びはありません。
いつでも、ご家族の未来が少しでも安心に近づくよう、心を込めて情報を発信していきます。
何かご不明な点や、不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。
「後悔しないお別れ」のために、一緒にできる準備を考えていきましょう。