こんにちは。ブログ「家族を想うお葬式ガイド」を運営しているKeisukeです。
以前は12年間、葬儀社でプランナーとして働いており、これまでに担当したご葬儀はのべ800件を超えました。
日々、ご遺族の不安や戸惑いに寄り添い、様々なご相談に乗ってきました。そんな中でよく聞かれた質問の一つに、「葬式に履いていく靴は、どんなものがいいですか?」というものがあります。
特に近年は、普段から履き慣れたスニーカーで参列してもいいのかと悩む方が増えています。結論から言うと、葬式にスニーカーを履いていくのは、特別な事情がない限り避けるべきです。
なぜスニーカーがNGなのか、どんな靴を選べばいいのか、この記事では元葬儀社プランナーの私が、葬儀の靴に関するマナーと選び方を、皆さまにわかりやすく、そして心を込めてお伝えしていきます。
大切な方とのお別れに際し、服装や身だしなみで悩むことがないよう、この記事が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
葬式にスニーカーは本当にダメ?その理由と例外
大切な方の訃報に接した際、急いで駆けつけなければならない状況は少なくありません。そんな時、一番履き慣れていて動きやすいスニーカーを手に取る方もいらっしゃるかもしれません。しかし、葬儀の場は故人様への敬意とご遺族への配慮を示す場所です。服装や持ち物一つひとつに、その心遣いが表れます。
まずは、なぜ葬儀の場でスニーカーが好ましくないとされているのか、その理由から見ていきましょう。
1. フォーマルな場にふさわしくないため
葬儀は、故人様を悼むための厳粛な儀式です。そのため、参列者はフォーマルな服装で臨むのがマナーとされています。スニーカーは、本来カジュアルなシーンで履くものです。運動靴、つまり「スポーツウェア」の一部と見なされることが多く、フォーマルな装いとは根本的に相容れません。
たとえ黒一色のスニーカーであっても、そのデザインや素材(キャンバス地、メッシュなど)はカジュアルな印象を与えがちです。故人様やご遺族に対して、失礼にあたると受け取られる可能性があります。
2. 音が響くことがあるため
スニーカーは、歩く際に「キュッキュッ」という独特のゴム底の音が鳴ることがあります。葬儀会場は静寂に包まれることが多く、その音が響いてしまうと、厳粛な雰囲気を損なう恐れがあります。
また、式場の床は硬い素材でできていることが多く、靴底が擦れる音がより一層目立ちやすくなります。静かに故人様を偲ぶ時間の中で、不必要な音を立てることは避けるべきでしょう。
3. 光沢や華美な装飾がある場合があるため
スニーカーの中には、デザイン性を重視して光沢のある素材が使われていたり、派手なブランドロゴや装飾が施されていたりするものもあります。葬儀では、派手さや華やかさを避けるのが基本です。
黒色のスニーカーであっても、これらの要素が含まれている場合は、マナー違反と見なされる可能性が高まります。
例外としてスニーカーが許容されるケース
とはいえ、人生には予期せぬ出来事がつきものです。以下のような状況では、スニーカーを履いていても、ある程度は許容されることがあります。
- 突然の訃報で、急いで駆けつける必要があった場合
- 遠方から急行する際など、喪服に着替える暇もなく、手持ちのスニーカーで駆けつけるしかない場合です。ただし、後日改めて弔問する機会があれば、その際は適切な服装で伺い、お詫びの一言を添えるとより丁寧です。
- 体調や怪我など、やむを得ない事情がある場合
- 足の怪我や病気、または高齢で歩行に不安がある方が、安全を最優先するために、クッション性の高いスニーカーを履くケースです。この場合も、できるだけ地味な色(黒や濃紺など)で、目立たないデザインのものを選ぶと良いでしょう。
【ワンポイント】スニーカーが許容されるかどうかの判断基準
迷った際は、「故人様やご遺族に不快な思いをさせないか」を基準に考えてみてください。
もし、ご遺族が「気にしないでください」と言ってくださったとしても、それは相手の優しさです。私たちは、その優しさに甘えるのではなく、可能な限りマナーを守る努力をすることが大切です。
葬式で履くべき「靴」とは?男性・女性別の正しい選び方
では、実際に葬儀の場で履くべき靴は、どのようなものなのでしょうか。ここからは、男性と女性に分けて、それぞれ望ましい靴の選び方をご説明します。
男性の場合:黒の革靴が基本
男性の喪服に合わせる靴は、黒色の革靴が基本中の基本です。
- 色: 必ず黒色を選びましょう。茶色やグレー、白などはNGです。
- 素材: 本革、合成皮革など、光沢の少ない素材が望ましいです。エナメルなど、光沢が強いものは避けてください。
- デザイン:
- 内羽根式ストレートチップ:最も格式が高いとされ、迷ったらこれを選べば間違いありません。
- 内羽根式プレーントゥ:ストレートチップに次いで格式が高く、こちらもフォーマルな場に適しています。
- Uチップやウィングチップ:カジュアルな印象が強いため、葬儀には不向きとされています。
- ローファー:脱ぎ履きが楽なため、ついつい履きたくなりますが、紐がない靴はカジュアルな印象を与えるため、避けるのが無難です。
女性の場合:黒のパンプスが基本
女性の喪服に合わせる靴は、黒色のパンプスが基本です。
- 色: 必ず黒色を選びましょう。
- 素材: 光沢のない革や布製のものが良いでしょう。スエードやエナメル、クロコダイル柄など、派手な素材はNGです。
- デザイン:
- つま先: 丸いつま先(ラウンドトゥ)が最も無難です。とがったつま先(ポインテッドトゥ)は、華美な印象を与えるため避けるのが良いでしょう。
- ヒールの高さ: 3~5cm程度の太めのヒールがおすすめです。高すぎるヒール(7cm以上)や、逆に低すぎるヒール(ペタンコ)は、カジュアルな印象を与えてしまいます。ヒールがない靴を選ぶ場合は、シンプルなデザインのものが良いでしょう。
- 飾り: リボンや金具、派手なバックルなど、装飾があるものは避けてください。
- ミュールやサンダル、ブーツ:これらはマナー違反です。特に冬場でもブーツはNGですので注意しましょう。
【男女共通】靴を履く前の確認ポイント
- 汚れがないか:出発前に、靴が汚れていないか確認しましょう。泥やホコリを払うだけで、清潔感が増し、故人様への敬意を表すことができます。
- 靴下・ストッキング:
- 男性:黒無地の靴下を選びます。柄物や白はNGです。
- 女性:黒無地のストッキングを着用します。寒いからといってタイツを履くのはマナー違反とされています。肌の色が透ける程度の薄さ(30デニール以下)が目安です。
意外と知らない!葬儀の靴に関する「よくある疑問」
ここからは、私が葬儀社で働いていた際によく寄せられた、靴に関する具体的な質問とその答えをまとめてみました。
Q1. 「黒いスニーカーなら大丈夫ですか?」
A1. いいえ、基本的には避けるべきです。
黒いスニーカーであっても、その素材やデザインはカジュアルな印象を与えがちです。特に、ソールが白かったり、ブランドロゴが目立つものはNGです。どうしても履かざるを得ない場合は、ご遺族に「急なことで失礼いたしました」と一言添えるなど、配慮を見せることが大切です。
Q2. 「雨の日の長靴はOK?」
A2. 基本的にはNGです。
長靴は、雨や雪から足を守るための実用的な履物であり、フォーマルな場にはふさわしくありません。雨が降っていても、黒い革靴やパンプスを履いて参列するのがマナーです。
どうしても長靴を履かなければならない場合は、式場に着いてから履き替えるか、ご遺族にお詫びの一言を伝えましょう。
Q3. 「喪服を持っていないのですが、靴だけでもきちんとすれば大丈夫ですか?」
A3. 喪服がなくても、靴はマナーを守る努力をしましょう。
急なことで喪服を準備できない場合は、黒や濃紺など地味な色のスーツやワンピースで代用することが可能です。その際、靴だけでもマナーを守ることで、故人様やご遺族に対する敬意を示すことができます。
服装全体のマナーについては、以前書いたこちらの記事「【元葬儀社プランナーが解説】もう迷わない「葬式の服装」完全ガイド|大人として恥をかかないために」で詳しく解説していますので、合わせてお読みいただくと安心です。
葬儀の準備に役立つサービスのご紹介
故人様を偲ぶ心と、ご遺族への配慮が何より大切です。しかし、突然の訃報に接した際、悲しみに暮れる間もなく、様々な手配や準備に追われることも少なくありません。
そんな時、少しでも皆さまの負担を減らすことができればと、いくつかのサービスをご紹介させていただきます。
1. 葬儀社選びに悩んだら
「どこに頼めばいいかわからない」「費用が心配」という方も多いのではないでしょうか。
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2. 喪服の準備が間に合わない時に
喪服は、人生で何度も着るものではないため、いざという時にサイズが合わなかったり、持っていなかったりすることもあります。
そんな時は、株式会社トレジャー・ファクトリーが運営する喪服・礼服のレンタルサービス【Cariru BLACK FORMAL】がおすすめです。質の高いブランド喪服が、ネットで簡単にレンタルでき、最短で翌日には届けてくれます。急な訃報でも安心ですね。
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まとめ:靴のマナーは「故人様とご遺族への敬意」
この記事では、葬式に履く靴について、スニーカーがなぜNGなのか、そして正しい靴の選び方について詳しく解説しました。
- 葬式にスニーカーは、基本的にはNG。フォーマルな場にふさわしくなく、音や装飾が厳粛な雰囲気を損なう可能性があるためです。
- 男性は黒の革靴、女性は黒のパンプスが基本です。
- どうしてもスニーカーを履かなければならない場合は、ご遺族への配慮を忘れずに。
大切な方とのお別れは、誰もが経験することです。その時に慌てることがないよう、事前に知識を身につけておくことは、故人様への最後の心遣いであり、ご遺族への温かい配慮となります。
このブログが、皆さまの「後悔しないお別れ」の一助となれば幸いです。
【Keisukeからの追伸】もしもの時に備えて
人生には、予期せぬお別れが突然訪れることがあります。
私自身、20代後半に父を突然亡くし、右も左もわからず葬儀の手配に奔走した経験があります。その時の精神的、経済的な負担は計り知れないものでした。
「同じ思いをする人を一人でも減らしたい」という思いで、私はこのブログを運営しています。
葬儀に関する情報やマナー、そして手続きのことなど、知っておくべきことはたくさんあります。
もしよろしければ、以下の記事も参考にしてみてください。
大切なのは、知識があることだけではありません。
故人様を想い、ご遺族に寄り添う心です。
その心を形にするために、マナーという「共通言語」が存在します。
この記事を読んでくださった皆さまが、もしもの時に備えることができ、心穏やかにお別れを迎えられることを心から願っています。
終活や生前整理、遺品整理など、お葬式の前後に必要な準備についても、今後もわかりやすく発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
遺品整理の専門家にお願いしたい場合は、【ライフリセット】というサービスもございます。ご自身で対応が難しい場合は、専門家にご相談するのも一つの手です。
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準備万端な方は、日頃の感謝の気持ちを伝えるギフトを探してみるのも良いかもしれません。
お別れは、悲しいだけではありません。
故人様との思い出を振り返り、感謝を伝える大切な時間でもあります。
どうか、その時間が後悔のないものとなりますように。